日系法律事務所

 まず行った所は滝本法律事務所というところです。

 滝本事務所は、日本人によって経営されているメキシコ唯一の法律事務所です。滝本事務所の応接室には平成5年当時の通産大臣熊谷弘氏より、多年の発展途上地域の経済開発に努めたことへの感謝状が掲げられていました。この国での、滝本氏の功績と信頼が感じられます。

 メキシコではいわゆる「法律家」を「アボガド(abogado)」といいます。日本でいう「弁護士」よりもアメリカの「ローヤー」に近いようです。私達司法書士の仕事もメキシコ式にいえば「アボガド」ということになるでしょう。この事務所の代表である滝本昇氏はメキシコでアボガドをやって、33年、事務所をもって21年になるそうで、人生の半分はメキシコですごしておられることになります。

 

 滝本法律事務所
 代表者 滝本氏

 

 事務所には日本でスペイン語を学び、さらにメキシコでアボガドの資格をとって活躍している、あるいはアボガドの資格を取ろうと頑張っている日本人の方が何人かいらっしゃいます。メキシコでは殆どの大学生は夜学だそうで、彼らも仕事を終えて、大学の法学部に通い、アボガドの資格を取るのだそうです。しかし、アボガドの資格をとることはそれほど難しくなく、また、アボガドでないと法律事務ができないということもないらしいのです。訴訟の代理権もアボガドでなければないというものでもないようです。おもしろいことに、事務所スタッフのウーゴ君は、まだ学生で、アボガドの資格を持っていないはずなのですが、彼の名刺にはすでに、アボガド、と印刷されていました。滝本事務所は、日本人が日本語でやっている唯一の法律事務所ということで、業務範囲としては、顧問弁護士として提携的なサービスをしているのが主なもので、日本の資本による会社や日系アメリカ企業とメキシコ企業とのコーポレートがメインのようです。駐メキシコ大使館の顧問もしているとのことでした。

 現在のところ、仕事は増えてきており、日系企業に関しては、20年くらい前は2・30社だけだったのが、今では300社くらいになってきているとのことでした。メキシコでは、法律は旧宗主国である、スペインから入ってきているので、フランスを起源とする大陸法系であるのが基本なのですが、何事もアメリカの影響を受けざるを得ないので、新しい法律や制度はアメリカ法的であるということです。ですから、事務所もアメリカ的にパートナーシップでやられているということでした。

 アボガドはメキシコ全土で25万人。メキシコシティにその半数がいます。その代わり、何か問題があるとすぐにアボガドのところに行く習慣だということで、それだけ心安い存在のようです。メキシコでもやはり不動産相談取引に関する仕事というのは非常に重要な仕事ということですが、不動産に限らずあらゆる契約書は公証人の認証がなければ効力はないという制度になっており、そこまでの話にもっていくのがアボガドの仕事だということでした。したがって両当事者の一方につくのが通常で、日本の司法書士のように双方代理の形になることはまずないということです。

 

 登記所の入口

 

 
 
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