社団法人 成年後見センター・リーガルサポート福岡支部 


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 Q&Aは、3ヶ月毎に更新します。(2月更新分)
 認知症の一人暮らしをしている父の保佐人に選任されました。久しぶりに父を訪ねると見知らぬ女性と同居していました。その女性に父と別れるように言えるのですか。
 ご相談者のお気持ちは良く分かります。同居から発展して将来結婚ということまでのご心配だと思いますから、この事を含んでお話しさせて頂きます。
 この場合、相手の女性に対してもお父さまに対しても、身内として一般的なる反対をする事はできたとしても、お父さまが被保佐人だということで無理に別れさせるということは出来ません。そればかりか、将来お父さまが結婚を決意されたとしても、それを留立する方法もありません。
 民法の規定では、被保佐人の法律行為は、保佐人の同意を必要とし、また保佐人が本人を代理して行うことを認めていますが、これは財産行為に関するものであり、今回の様な同居だとか進んで結婚などの身分行為には適用がないのです。
 ご存知のように、結婚は両者の合意があれば有効なのですから、被保佐人は意思能力を欠くものでないので、お父さまは保佐人であるご相談者の同意を要せず、単独で有効な結婚をする事ができるのです。保佐人であるご相談者は、これを取り消す事もできません。 ご相談者に御願いすることは、これからのお二人を温かい目で注意深く見守っていって頂きたいということです。
身分行為(結婚)に関することは分かりましたが、それとは別に同居期間中の父の財産関係について心配が残るのですが。 
 ごもっともなことだと思います。この点につきましては、ご相談者のお父さま場合、結婚に至らずとも同居期間中に同居相手よりの財産侵害(無駄遣い・使い込み)の心配も考えられますので、対策としては、現在ご相談者は保佐人の立場にあり、お父さまと金融機関との取引について同意権を有しておられますので、金融機関に対し保佐開始届を出すことにより、以後の取引に関し、金融機関はご相談者の同意なしに取引を行わなくなります。(通常は保佐開始と同時に届出されていると思いますが。)
 また更に、必要なら保佐人は家庭裁判所の審判により財産に関しての代理権が付与され、これにより本人の財産を管理する権限が認められることになりますから、ご心配であればこの手続きをお取りになることも方法の一つかと思われます。
 この場合、審判にはご本人の同意が必要となりますのでその点もご留意下さい。
 最後になりますが、保佐人には身上配慮義務がありますので、これからは、「久しぶり」ではなく「時々」お尋ねになりながら、同居なさっている女性の方の動向を見極められるのもよいのではないでしょうか。 
 私たちの息子は少し知的障がいがありますが、普通高校を卒業して、現在は知り合いの会社で働いています。
 これまで何事もなく生活してきたのですが、最近クレジット会社からの請求書が頻繁に届くようになりました。驚いて本人に聞いてみたところ、高額な絵画や宝石などをローンで購入したそうです。 これまでの分は私たちでなんとか返済したのですが、これからまた同じことを繰り返さないかとても心配です。
 息子が、絵画や宝石などを本当に欲しくて買うはずはないと思うのですが、こういったことから息子を守る方法はないでしょうか。
 このような悪質商法の被害に遭った場合、クーリング・オフの制度を利用するなどの方法があります。しかし一般的に、知的障がいのある方がご自身で悪質商法の被害に遭ったことを認識し、クーリング・オフによる解約の主張などをすることは難しいのではないかと思われます。
 そこで、今後このような悪質商法の被害から息子さんを守るため家庭裁判所に補助人を選任してもらってはいかがでしょうか。息子さんが将来また、今回のような被害に遭われた場合に、息子さんに代わって補助人が様々な対応をとることができるようにしておくのです。
 具体的には、家庭裁判所に対し、補助開始の審判申し立てと同時に、補助人の同意を必要とする法律行為を特定して、同意権付与の審判を申し立てます。
 息子さんの場合、同意の対象となる法律行為は、「訪問販売による契約の締結」や「クレジット契約の締結」などになると考えられます。
 そうすると、たとえば息子さんが、補助人の同意を得ずに訪問販売で必要ない物を購入してしまったり、代金支払いのためにクレジット契約を結んでしまったりした場合、補助人はそのような契約を取り消すことができるのです。
 ただし、いずれの申し立てにも本人の同意が必要となりますので息子さんを説得して申立を了解してもらわなければなりません。 
(11月更新分)
 わたしの母は、最近急に物忘れなどがひどくなり、判断能力が衰えてきている様子です。
 母は、アパート経営をしており、アパートの管理や家賃のことなどもあり、母に代わって財産の管理をしてくれる人がいればよいのに・・・と思っていたところ、成年後見制度のことを知りました。 成年後見人には、誰がなるのですか?家族でもなれますか?その仕事に内容についても教えてください。
 まず、成年後見人は、本人にとっていちばんよいと思われる人を家庭裁判所が選任します。具体的には、個々の事情や状況に応じて家族がなったり、第三者(法律実務家や福祉の専門家など)がなったり、その両者(複数)がなったりすることもあります。
 次に成年後見人の仕事の内容ですが、@補助A保佐B後見の類型ごとに法律行為の内容やその権限の範囲などは異なりますが、ご質問のお母様の場合ですと、預貯金の管理や年金、アパート収入の管理、税金や生活費などの支払い、賃借人との賃貸借契約などの財産管理行為、また、施設などへの入所が必要になった場合には、施設との入所契約や病院への入院手続などの身上監護行為が考えられます。
 そのほかに、成年後見人には家庭裁判所に対して報告をするという仕事もあります。
@被後見人の財産などに大きな変動あるときの報告(財産の処分  や遺産分割、相続放棄など)
A定期的な報告(就任直後の財産状況の報告や毎年1回程度の定  期報告、終了時の報告)
B家庭裁判所から求められた場合の報告
 
 報告書には被後見人の通帳の写しを添付したり、財産目録を添付することになりますので、被後見人の財産は後見人の財産とは分けて別に管理するなどの注意が必要です。日常的に業務日誌や現金出納帳などをつけておくと便利でしょう。 
 また、成年後見人が仕事をするにあたっては、交通費などの実費を本人の財産からもらうことはもちろん、家庭裁判所の決定によって仕事をした分の報酬をもらうこともできます。この場合は、報酬付与の申立という手続が必要になります。
(8月更新分)
 私には、認知症の母がいますが、認知症が重くなってきたため私たち家族で同居して母の介護をしていきたいと考えています。
 そこで、私の長男が銀行から融資を受け、介護のためのリフォームをしたいと考えていますが、自宅の土地は母の名義になっています。このようなときには、成年後見制度を利用しないといけないと言われたのですが、どういうことでしょうか?また、何か問題点があるのでしょうか?
 金融機関の住宅資金ローンを組むときには、不動産を担保に提供することが一般的です。ご質問のように土地がお母様の名義になっているときには、お母様も、金融機関との間で、担保提供者として抵当権の設定契約を結ぶ必要があります。
 ご相談のように認知症により判断能力がない状態では、内容を理解し契約を締結することは難しいと考えられますので、誰かが代わりに契約を結ばなければなりません。
 しかし、家族であっても当然にはお母様の代わりに契約をすることは出来ませんので、まず、家庭裁判所に申立をして成年後見人を選任してもらう必要があるでしょう。
 また、抵当権の設定契約を結ぶことは、お母様の「居住用の不動産の処分」にあたりますので、「裁判所の許可」を得る必要があります。今回のケースのように介護のためのリフォームなどの場合には、許可される可能性があります。
 しかし、成年後見制度は被後見人となる本人の財産を守るためにある制度ですから、たとえば入所中の本人に退所の見込みがなく、親族の都合による増築のために担保提供するような場合には、許可されないこともありますので、まずは専門家にご相談ください。
 身寄りのない高齢者が隣に住んでいます。先日、お話を聞いてみると、長い間一人暮らしで、親族なども特にいないとのこと。お話を伺っていると、すこし認知症がありそうなのですが、なにかよい方法はありますか?
 まず、地域包括支援センターを利用されてみてはいかがでしょうか。地域包括支援センターとは市町村が主体となって、地域住民の心身の健康保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的として設置された機関です。
 業務の内容として、包括的支援事業(@介護予防ケアマネイジメントA総合相談・支援B権利擁護C包括的・継続的ケアマネイジメント支援)と介護予防支援業務がありますので、今回のご相談の内容についても対応してもらえると考えられます。
 次に、法律行為に関する援助が必要であったり、虐待や財産侵害等が行われ、法的権限を持った代理人が介入しなければならない等の場合には、成年後見制度を利用することも考えられます。
 近年の家族関係や家族意識の変化に伴い、ご質問のような、一人暮らしの高齢者や身寄りのない高齢者が増えてきていますので、それらの場合には、市町村長(特別区の区長を含む)は、65歳以上の方(65歳未満の方でも特に必要があると認められる場合もあります)、知的障害者及び精神障害者については、その福祉をはかるために必要があると認められるときには成年後見開始審判等の申立をすることができますので、積極的に利用されることが期待されています。
 また、原則として、本人に、4親等内の親族がなかったり、これらの親族がいても音信普通の状況にあるなどの事情により、親族による法定後見の審判等が期待できない場合には、市町村長が本人の保護を図るために審判の請求を行うなど、柔軟な対応がなされる場合があるようです。
(5月更新分)
 隣に住んでいるお爺さんは数年前に奥さんを亡くされてから身寄りがなくずっと一人暮らしをしています。高齢で、体の自由がきかなくなり出歩くのもたいへんなため、お爺さんから頼まれて、私が預金の出し入れや支払いを手伝っています。
 ところで、最近は、物忘れをすることが多くなり通帳や印鑑を失くしてしまう等財産管理に不安があるため、通帳の管理も頼まれています。
 私は、法律のことについては知識がなく、そのため、財産管理について適切な管理ができているか心配です。また、今後お爺さんが物事を理解できないようになったときに周囲から詮索されるのではないかと不安に思っています。何か良い方法はありませんか?
 現在、あなたがしているお爺さんの預金の出し入れ、通帳の管理は民法上の委任契約に基づくものになります。財産管理は任意の契約ですから、誰とでも、また、口頭ですることが出来ますが、委任を受けた方は、管理が不適切なものとならないよう注意する必要があり、後日財産管理についてトラブルにならないよう委任内容及び処理内容については記録に残すことをお勧めします。
 さて、今回のケースでは、ご本人の判断能力が低下してきたため財産管理についての能力が十分でなくなってきていますが、財産管理については委任をすることが出来る状況のようですね。
 この場合日常生活の範囲内での支援が必要ということであれば、地域福祉権利擁護事業によるサービスの利用を考えてはいかがでしょうか。
 この事業の主体は、各都道府県及び指定都市の社会福祉協議会でありおおまかに言えば、支援を必要とする方の日常の生活を支援すること、書類等をお預かりすることにより紛失、盗難等を予防すること等を目的としたもので、@福祉サービスの適切な利用等をするための福祉サービス利用援助、A年金の受領や、税金、公共料金の支払い等の日常的金銭管理サービス、B定期預金通帳、保険証書等の通帳書類等の預かりサービスがあります。
 これらのサービスは、財産管理等についての判断能力が不十分な方が、事業内容を理解した上で、事業者との間で財産管理についての契約を締結して、利用することになります。
 また、今後、本人の判断能力が減退することが見込まれるようであれば、本人の判断能力が衰えたときに備えて、ご本人が、支援者(任意後見人)との間で、本人の希望する将来の財産管理、身の回りのことなどについて頼んでおくことが出来る任意後見制度の利用も考えられます。
 リーガルサポートも法律専門職として支援しています。詳しいお話を伺いながら適切な方法を提案することもできますので、お気軽にご相談ください。
 私には親しくしている親族もいなくて周りにも身寄りがありません。今は一人暮らしですが将来の生活のことが心配で有料老人ホームに入りたいと考えました。
 入所費用に関しては貯金や年金で問題ないのですが、施設側から入所するには身元引受人が必要と言われました。後見人を選任すれば身元引受人になってくれると聞いたんですが・・・
 一般的に「成年後見制度を利用して後見人を選任すれば、後見人は身元引受人になってくれる」といった誤解があるようです。しかしながら、成年後見人等は本人に代わって、法律で定められた業務や本人との任意後見契約で定められた業務を行うことが職務範囲なので、身元引受・身元保証は原則としてできません。
 成年後見人等は、本人が施設や病院に入所する際に身元引受・身元保証を求められたときは、身元引受・身元保証に代わる対応をします。
 有料老人ホーム入所や病院入院の際に、施設等は「身元引受人」や「身元保証人」を求めることがあります。その趣旨は、施設費用や入院費の支払いを確保することや退所の際の身柄引取先を確保するという意味合いがあるようです。
 そこで成年後見人等は、施設等に対して、身元引受人や身元保証人になることはできないが後見人が選任されていることの利点を説明し、施設側が抱える不安を解消しスムーズに入所できるよう施設等と話し合いを行います。
 施設費用の支払いは、本人の財産の範囲内で後見人が支払い手続を行うので、支払いが滞ることはありません。身柄の引取りは、本来本人自身や親族等が決定すべき事柄なのですが、後見人が本人の意向を確認して退所後の住居を確保したり親族等の有無を確認したりすることによって、将来に備えることができます。
 このように、成年後見人等は直接身元引受人や身元保証人になることはできませんが、成年後見人等が選任されていることによって施設等にとっては形式的に親族等に身元引受人になってもらう以上のメリットがあると考えられます。 こういった点を施設側に説明し、理解してもらうように努めましょう。
 また、最近は施設側にも成年後見制度に対する理解が浸透しており、成年後見制度を利用すれば身元引受人や身元保証人は不要というケースも増えています。
(2月更新分)

 私には、重度の知的障がいがある長女(45歳)がいます。私の夫は5年前に他界し、それ以来自宅で私1人で娘の介護を行ってきました。私自身は70歳を超え、体力的には少し衰えも感じるもののまだまだ元気です。しかし、私に万が一のことがあったら、他に長女の面倒を看てくれる親族はいません。そうなった場合の長女の介護や、長女のために使いたいと思い蓄えてきた私の預金などはどうなってしまうのかと思うととても不安です。そんな場合に備え、何か良い方法はありませんか。

 ご相談の事例の場合、身上監護(※1)と財産管理(※2)の双方について権限を有し公的な監督制度もある『法定後見制度』の活用を検討されてはいかがでしょうか。ご相談の事例では、あなたが元気なうちに家庭裁判所に後見開始の申立を行い、あなたと、他にもう1人適当と思われる人を成年後見人に選任する複数での後見が考えられます。この方法をとれば、あなたが元気なうちはあなたが子の面倒を見、あなたの判断能力が低下したり、不慮の事故などで万が一のことがおきた場合、もう1人の後見人が引き続き後見事務を行うことが出来ます。また、あなたが元気なうちにもう1人の後見人に身上監護や財産管理についてのあなたの親としての想いを予め伝えておくことも可能となります。
※1介護や施設入退所などの「生活一般」に関する支援 
※2預貯金や不動産の管理、租税等の支払いなどの「財産の処分」 に関する支援

 それでは、長女のために後見人を選任してもらえば、あとのことはもう何も心配しなくても大丈夫でしょうか?

 子の面倒をみる人がいなくなるケースは、親が死亡した時だけではありません。あなた自身が認知症になった場合には、お子さんの面倒をみる人がいなくなるだけではなく、あなた自身の面倒をみる人もいなくなるということにもなります。先ほどの、長女のために使いたいと思い蓄えてきたあなた名義の預金ですが、これはお子さんの財産ではありませんので、お子さんの後見人がこれを勝手に使うことはできません。こういった場合あなた自身が元気なうちに、将来あなたが認知症になった時のことを想定してあらかじめ準備をしておく『任意後見制度』もあわせて活用すると良いでしょう。あなたの名義でお子さんのために蓄えた預金を、お子さんのために使ってもらうような任意後見契約を結んでおけば、あなたが認知症になった場合でも、あらかじめ決めておいた任意後見人があなたの後見事務を行うことになり、お子さんの後見人と連携して、あなたの名義の預金をお子さんのために役立てることができるということになります。
 この二つの事例は、障がいがある子の親が高齢となり、認知症になったり、先に死亡したりした場合、残された子の介護をどのように行っていくのか、財産管理をどのように行い、それを子の為にどのように役立てていくのかが問題となるものであり、いわゆる『親なきあと問題』といわれています。

 一人暮らしをしていた父が、家の中でころんで腰の骨を折り、現在病院で入院をしています。先日医師から、父は、骨折の方は大分症状のほうがおちついてきていますが、アルツハイマー病がすすんでかなり判断力が低下してきているので、退院後はいままでのように一人暮らしは無理なのではないかという説明がありました。そこで、退院後は長男である私が父を引き取ることになったので、将来の父の療養介護費用に充てるため、父所有の土地等の不動産を売却したいと考え、近くの不動産業者に相談に行ったところ、判断力の充分でない人とは契約できないと言われました。どうしたらよいでしょうか。

 不動産を売買する契約を行うには、一定の判断能力が必要です。この能力がないのに契約を行うと、法律上は無効となる場合があります。したがってご相談のケースの場合は、家庭裁判所に審判を申し立て、お父様の後見人等を選任してもらう必要があります。家庭裁判所は、お父様の判断能力に応じて、成年後見人、保佐人、補助人いずれかの後見人を選任いたします。この場合、あなたが上記のいずれかの後見人に就任することはもちろん可能です。後見人は、その権限によって、お父様の代理人として不動産の売買契約を行うか、お父様が契約を行うのに同意をして契約を有効に成立させることができます。ただし、お父様の居住用の不動産を売却する場合は別個特別に家庭裁判所の許可が要りますので、居住用の不動産の売却は、お父様の療養介護のため、どうしても必要なときにだけ考えるべきです。

(11月更新分)

 80歳になる一人暮らしの母親が、家屋の点検に来たというリフォーム業者から、屋根の修理や床下の補強と称して200万円のリフォーム契約をさせられたり、訪問販売業者から高額な健康器具を買わされたりしました。そのときは、クーリングオフ制度を利用して事なきを得たのですが、最近母は判断能力が衰えてきているようですし、今後また同じことが繰り返されないか心配です。事前にこのような心配を取り除く、何か良い方法はありますか?

 ご相談の事例のように、最近では、不要なリフォーム工事を契約させ、多額の代金をだまし取る「リフォーム詐欺」や一度契約した人に様々な業者が高額な商品を売りつける「次々販売」など、高齢者を狙った悪質商法が大きな社会問題となっています。あなたのお母様のように、このような被害に遭う心配が生じたときには、成年後見制度を利用されると良いでしょう。判断能力が衰えてきている場合には、その程度に応じて法定後見制度(補助・保佐・後見の3タイプ)を利用することが出来ます。法定後見制度を利用して後見人等が就任していれば、お母様が法定後見人の同意なく契約を結んでしまった場合でも、契約を取り消すことが出来ますし、すでに代金を支払ってしまった場合にも返金を求めることが出来ますので、被害を未然に防ぎ、あるいは最小限にくい止めることが出来るでしょう。



                (7月更新分)
 父親の死後、それまで住んでいた家は兄弟で話し合って、母の名義にしていました。母は、父の死後気落ちしたのかすっかり弱ってしまい、最近では私の顔もわからないような様子です。
 しかし、最近になって母の名義の家が同居している長男の名義に書き換えられていたことがわかりました。 子どもの顔もわからなくなっている母が、不動産を兄に贈与することなど考えられません。兄を疑うわけではありませんが、このままでは母が老後の資金にとためていた預貯金のこともどうなっているのか心配です。
 私は、遠方に住んでいるので、なかなか実家に帰ることもできません。どうしたらよいでしょうか?
 それはご心配ですね。お母さんの場合は、詳しくはお医者様の判断によりますが、自分の財産の処分についての判断能力が衰えている状態だと思われます。ですから、成年後見制度を利用して、成年後見人を選任してもらい、成年後見人にお母さんの財産管理や契約に関しての同意や取消ができるようにすればよいと考えます。
 お兄さんの名義に書き換えられた不動産については、お母さん自体が名義の回復を言うことができなくても、成年後見人等が代って登記名義の回復のための訴訟を提起する等の方法をとることもできるようになりますので、安心してください。
 相談のケースは、既に不動産の名義が書き換えられていますので、早めに専門家にご相談することをお勧めします。


 私には、老人ホームに入所している叔母がいます。叔母は、夫に先立たれ、子どももおりませんので、私がときどき様子を見に行ったりしています。叔母は、判断能力の衰えなどはありませんが、腰が悪く一人で出歩くことが難しいので、老人ホームの職員さんに頼んで、身の回りの買い物などを頼んでやってもらっている状況です。しかし、最近「頼んだことはやってくれるのだけど、きちんとお金のことを報告してくれないし、どうも多めに使われているようだ。」というのです。
 叔母がこのような不安を訴えているのですが、何かよい対処方法はありますか?

あなたの叔母さまの場合は、今後判断能力が衰えてしまった時のことを考えて今のうちに「任意後見契約」を締結することが可能です。それに伴って、「任意代理契約」を締結し財産管理契約をすることで、本人の判断能力が十分であっても、今のうちから専門家の支援を受けることができます。
 そうすれば、大きなお金の出し入れは専門家が直接行い、日常の買い物などについては、施設側にお願いするとしても、きちんと報告や領収書の提出を任意代理人から求めることができることになります。