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[2014.06.12]
立憲主義に反する閣議決定による憲法解釈変更に反対する
  立憲主義に反する閣議決定による憲法解釈変更に反対する  

 
 


 日本国憲法は、先の大戦において多くの悲惨な犠牲者をだしたことへの深甚なる反省から「政府の行為により再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意して」確定され、前文と第9条において徹底的な平和主義を宣言しています。
 そして前文は、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う...日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」として、極めて困難な使命を担うことを世界に向けて決意表明しました。
 そして67年間、日本は国際紛争において一人も殺さず、一人も殺されていない歴史を作ってきました。
 ところが今、政府は集団的自衛権の行使を容認するという憲法解釈の変更を、改憲の手続きを経ることなく、閣議決定で行なおうとしています。
 しかし、憲法第9条は「戦争と、武力による威嚇または武力の行使」を放棄するとともに、「陸海空軍その他の戦力」の保持を否定し、国の交戦権を認めていません。
 従って、海外で他国の軍隊と共に戦闘を行うことが予想される集団的自衛権の行使は、憲法前文及び第9条に違反すると言わざるを得ません。
 そして、憲法解釈を閣議決定で変更することは、憲法によって行政・立法・司法という国家権力を規制し、これにより主権者たる国民個々人の権利や尊厳を確保しようとする立憲主義の基本原則を蹂躙するものです。
 これは、主権者から規制されている側が、その規制を勝手に変更するものであり、到底容認できません。
 海外での軍事行動が、日本と世界の平和のために必要であると判断するのであれば、正々堂々と第96条に従って第9条を改定した上で行うべきであって、立憲主義を否定する形で強行すべきではありません。
 なお、1959年の砂川事件最高裁判決を集団的自衛権容認の根拠とする主張がなされています。しかしこの判決は、在日米軍の合憲性に関する事案であり、集団的自衛権については判断されていません。
 1972年の参議院決算委員会に提出された政府資料は、この最高裁判決を引用して集団的自衛権を否定していることなど、歴代政権も一貫して「集団的自衛権の行使は、憲法が許容する自衛権行使の範囲を超えるものであって許されない」としてきました。
 このように、この最高裁判決が集団的自衛権行使を容認する論拠とはならないことは明らかです。
 以上の理由により当会は、立憲主義に反する閣議決定による憲法解釈変更に反対し、これを強行しないよう強く求めるものです。

 



 
  2014年(平成26年)5月31日
福岡県司法書士会 第65回定時総会


 

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