9月14日
地方の登記官を対象としたセミナーの初日。場所は昨日のゲルにて。まず初めに齋藤先生が財産法と公示の関係や登記の仕組みを説明し、私が日本の登記手続きの話をする。1時間くらいたったころ、オブス県から10,000kmも離れたゴビアルタイ県からの参加者が息せききって飛び込んできた。2日がかりでやっとたどり着いたらしい。授業に間に合おうと必死で来ましたというまじめそうな青年である。自然とこちらの説明にも熱がはいる。資料は土地、建物だけでなく、昨年好評だった工場財団シリーズに加え、今回は船舶や港湾運送事業財団なんかも持参した。

 セミナーに参加したオブス県の幹部

なにしろ、政権交代で登記局の担当者が変わり、あんなに大量にプレゼントした資料全部の保管場所がわからないというので、また別のものを用意したのだ。モンゴルは国土が広いうえ、建物が敷地内に点在している所が多いので、ちまちました1個ずつの登記より財団型式の方が実状に合うのかもしれない。工場財団目録と図面を見せて、これだったら動産でも登記できることを伝えると全員が興味を示した。地方のニーズはやはり首都とは少し異なっており、どうも話を聞いていると、書式精義の下に載っている鉱業財団、立木登記、農業用動産、建設機械に関する登記にあたるようだ。

 荷物運搬用のラクダ

次回はその方面の勉強もしてくることにしよう。前回と同様、いったん集中すると、休憩がないので大変なのだが、昼食前のわずかな時間に馬にのせてもらった。モンゴルの馬は背が低くて怖くはないとはいえ、こんな所でけがでもしたら笑い話になるので、10分ほどでていねいに断った。ここにはいろんな動物たちがいる。いきなりラクダの群を見たときはびっくりしたが、ラクダは寒さにも強く、力持ちで持久力があるので、荷役として全国で50万頭以上が飼われているそうだ。

 休憩時間に乗馬

午後からは天気がいいので、外に机を出してセミナーを続け、夕方からそのまま屋外でオブス県の幹部連中や企業の経営者を対象に資本主義経済における登記の重要性について話をした。やがて夜になりいつもの食堂で全員が集まって、登記局開局2周年記念パーティーが盛大に催された。この日ばかりは遠路はるばる日本から来た講師をねぎらうため、丸ごとの羊料理が出され、各地の地酒がふるまわれた。幹部連中は1人1人がお祝いの演説をして、歌を唄う。それだけならもう慣れたものでちっとも驚かないのだが、この日すごかったのは各省庁から登記局へ贈られたプレゼントの数々。

 登記局開局2周年記念パーティのメインディシュの羊料理

覚えているだけでも警察署からは中古の車が、水道局からは水道料金の、エネルギー省からは電力料金の棒引き、どこかの役所は家賃や借金をチャラにしたし、とにかくみんな大盤振る舞い。はじめは冗談かと思っていたのだが、そのたびにダワーさんはますます上機嫌で自慢ののどを披露する。

 博多流に「祝めでた」でパーティを締めくくる

2時間以上続いたパーティーの終わりは、私が「祝いめでた」と「博多手1本」で締めくくり、日本の宴会の終わりの美学を伝授する。
今日も1日疲れたけれど、その疲れがとれないのは、お風呂に入れないからだと思う。
それでも今夜はなんとか凍るような水で顔だけは洗い、おやすみなさい。

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