りーがるーブログ

[2020/01/22] イベント報告

シンポジウムレポート  お待たせしました! 第2弾!!

第2弾  パネルディスカッションレポート

 パネルディスカッションには弁護士・社会福祉士・司法書士といった専門職と行政、社会福祉協議会といった各関係機関の担当者の以下の方々が参加し、それぞれの立場から討論を行いました。

 コーディネーター:江島滋美氏(リーガルサポート福岡支部支部長)
 パネリスト:稲吉絵美氏(社会福祉士)
       岩城和代氏(弁護士)
       小池紀徹氏(福岡市社会福祉協議会あんしん生活支援
             センター所長)
       仲野雅志氏(福岡市保健福祉局高齢社会部地域包括ケア
             推進課地域包括支援センター係長)
       安樂美和氏(リーガルサポート福岡支部会員)

 非常に濃密な90分でその全てをお伝えすることはとても出来ませんので、私の印象に残った言葉を中心にお伝えしたいと思います。

「福岡高齢者・障害者虐待対応チーム」の一員としての活動もされている稲吉氏は本人の意思を尊重することの大切さを何度も繰り返し述べられました。後見人はもちろんのこと今後中核機関が設置された折にはその担当者も本人と面談し、本人にとって必要な支援とは何かというのを考えるべきであり、従来の代行決定型から脱却するためにも認知症・障がい等への知識を十分に備えるべきだと提言されました。

 小池氏は、「地域の取り組み・その専門性について」の話の中で「日常生活自立支援事業」について紹介されました。これは本人との契約に基づき、社会福祉協議会が福祉サービスの利用援助や日常金銭管理等を比較的安価な料金で行うものです。私は後見の前段階として非常に有用な事業だと感じましたが、利用者増からサービス待機者も発生しており供給が追いついていない現状が課題であると仰っていました。

 安樂氏は、「後見人自身の課題」についての討議の中で、司法書士の専門性が後見業務のどこかひとつの分野に特化しているということはなく、後見全体のプロという認識を持っているとした上で、そうであっても精神障がいのある方とコミュニケーションを取るスキルなどは不十分な部分があるため、そういう方を担当することになった場合専門性とのミスマッチが起きてしまうのが課題であるとされました。

 岩城氏は、「後見人選任後の課題」について話される中で、自己決定支援について「自分のことは自分で決め、その責任を自分で取る。そういったことを子どもの頃から教育・訓練せずに大人になってしまう現状で、判断能力が衰えて後見人等がつくようになってから「自己決定して下さい」と言われてもそれは酷ではないか」と日本社会全体の課題であるとの認識を示されました。
 また、「中核機関設置後の展望・課題」についての討議において、後見サービスは地域等による格差が許される市場サービスではなく、全ての人が平等に受けられる公共サービスであるべきとした上で、リーガルサポートや弁護士会などが機能している地域では殆どの案件は掬い上げられる為、中核機関は身寄りが無い方、資力が無い方など支援が届きにくい方に手を差し伸べることがその大きな役割になると考えられること、実働性を担保するためにも継続的な財源の確保や情報収集能力を高めること等が求められると期待を込めた言葉を残されました。

 総括的な立場でコメントされた仲野氏は、「持続可能」な後見制度利用促進・権利擁護の体制の構築を展望として示していくのが行政としての大事な役割であるとしたうえで、関係機関のマンパワーの限界・民生委員といったボランティア前提の福祉サービスの行き詰まり・制度利用のための財源確保の問題といった制約が既にある中で、現実的な議論をしなければならないと述べられました。さらに「自分にとって好都合なことを他者に過大に期待する制度運用・仕組み作りは絶対に上手くいかない」とした上で、「自分はこれが不得意だからあなたのところでお願いしますといった押しつけがましさがこの制度(後見制度利用促進計画)には散見される。その部分は特に注視しなければならないと考えている」と警鐘を鳴らしておられました。
 また、最後に述べられた次の言葉は後見制度等に関わる全ての人々にとって非常に重要な指針となる言葉であると感じました。
「後見制度等の権利擁護活動においても多くの立場の人が協力することになり、『多職種連携』が重要だと盛んに言われているが、『連携』と言っている内はそれ自体がテーマになってしまう。これからは考え方を変えて『多職種協業』分担して重なり合いを作ってフォローしていくような考え方を採るべきではないか。
 専門職後見人には自らの資格を中心に考えてしまう『資格の罠』というものがあるように感じていて、他の専門職の専門性を尊重するあまり互いが重なるような周辺部分に関して消極的であることが少なからずある。これからはその周辺部分にも飛び込んでいく、領空侵犯するぐらいの気持ちでやるのがちょうど良いのではないか。相手方もそれを受け入れる寛容さを持つ。そのことがいわゆる『目詰まり』を氷解するきっかけになるのではないかと自分は考えている」

 この話を聞いて私は塗り絵を連想しました。ここから先は別の色だから、はみ出したら悪いと境界線の手前でそれぞれが塗るのをやめてしまった塗り絵。それは見た目には綺麗かもしれませんが、線の端境つまり専門性の枠に縛られることで、白紙の部分からこぼれ落ちてしまう問題や人々がいるのであれば権利擁護の制度としては相応しいものと言えるでしょうか。

 枠からはみ出す勇気とそれを許容する寛容さを持てるか。これは私たち専門職後見人始め多くの関係者に与えられた大きな宿題だと感じました。



 
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