りーがるーブログ

[2023/04/12] イベント報告

第2回 相続シンポジウム「多様化するライフスタイルとこれからの相続」が開催されました。

 昨年12月5日、ハイブリッド形式で開催された第2回 相続シンポジウム「多様化するライフスタイルとこれからの相続」の内容を簡単ではありますが、ご紹介いたします。

 冒頭、MUFG相続研究所所長の小谷氏より、「おひとりさま」へのアンケートを基に分析がなされました。
 例えば終活準備についての意識するかどうかは、その方の年齢よりも生活状況が大きく影響し、独居や親族と疎遠など、寝たきりや孤独死、自身の死後事務などに不安を抱えている方ほど積極的に終活に取り組む傾向があります。

 その一方で「終活準備をしている」と答えた方でもその95%以上は、「自身の資産を表計算ソフトで一覧にする」、「市販のエンディングノートを利用する」といったことに留まり、遺言書の作成や死後事務委任といった法的な手続には至っていません。

 おひとりさまを巡る様々な法的制度に関しては、「任意後見」については、認知度も興味の度合いも高い数字が出ました。しかし、法定後見と混同しているのではないか、また認知度は高くとも得ている情報に偏りがあるのではないかと小谷氏は懸念します。
 例えば後見等に関する不正事例は(後見自体の件数増加とは裏腹に)年々減少していること、被後見人本人の意思を尊重するべく様々な機関が仕組み作りに動いていることはあまり知られていません。
 「遺言書」についても「人生の節目」や「自身の体調悪化」などを経緯に作られることが多く、「今この瞬間に自分が命を落としたとき、自分の遺産をどのように引き継いでもらうのが最善なのか」というリスクコントロールの発想から作られるケースは少数に留まるとのことです。
 そうして残された遺言書の中にも、紛失その他の原因で適切に執行して貰えないものや、形式・文言の不備で遺言者の意思通りのことが実現できないものもあります。
 ご自身で書籍、インターネットなどでお調べになることも大切ですが、少しでも不安が残る場合は専門家にご相談頂くことをお勧めしたいです。

 第二部以降はパネルディスカッション行なわれました。
 ここで取り上げられたのは死後事務委任でアンケートの結果によると「認知度は低い。しかし、単身独居の方など自身の属性によっては非常に強い興味を持っておられる方もいる」と説明されていました。
 ​ご存じない方もいらっしゃいますが、(任意)後見人の業務は本人死亡により終了してしまうため、亡くなったご本人が葬儀や埋葬について希望をお持ちでも、それを叶えることが出来る立場にはありません。
 そのために活用されるのが死後事務委任であり、大変有用な制度ですが、一方で業務の範囲や権限が広いため、そのことが諸刃の剣となる場合もあります。
 この点について、リーガルサポート(以下、LSといいます)理事長の高橋氏は「信頼関係が重要」だと語ります。
 「LSは死後事務委任について、それ単体ではなく、任意後見とセットのものとして考えている。
 (亡くなった後だけ)スポット的に役割を果たすと言うよりは、(その方の生前から)二人三脚で長く関係を築いていくイメージだ。
 その一方でLSによる受任者等に対するチェック機能を確保し、本人に相続人がいる場合は事前に調査しておくなど、受任者には安定性・安全性に配慮した執務を求めている」

 この部分に関しては他の登壇者からは、機動性や簡便さといった死後事務委任の良さを、チェック機能を重くすること、任意後見とセットにすること(任意後見契約には公証人の関与が必要)などにより、スポイルしてしまうのではという指摘もありました。
 実際、LSでは死後事務委任等について、契約締結前にLSの事前承認を求めることとされており、依頼者が思い立って、実際に契約が締結されるまでには相応のタイムラグが生じるため、余裕を持ったスケジュールが求められます。
 そうした部分が市民の皆様のニーズと乖離しないような意識はLSにも求められるかもしれません。
 
 パネルディスカッションではその他、任意後見契約の締結件数と発効件数の差から適切に運用されているか疑義が残ること、七割以上が法定後見となっている後見制度全体の歪みのようなものにも言及され、それぞれの立場から意見交換がなされていました。
 
 長くに渡る婚姻数、出産数の低下から今後ますます増えると予想される「おひとりさま」。本イベントはそうした当事者の意識調査から、各種制度への当事者、専門家の視点など様々な点について学ぶことが出来る大変有意義なものだと感じました。







 
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