りーがるーブログ

[2017/05/23] 報告

市民後見人育成に向けてのシンポジウム 参加報告

 平成29年3月24日(金)LS広島県支部主催の標記シンポジウムに参加して参りましたので以下、ご報告いたします。
 事前のパンフレットの案内によると、参加対象者は「自治体及び社会福祉協議会並びに地域包括支援センターのご担当者」が想定されていました。平日の昼間ということもあり、どの程度人数が集まるのかと思っていましたが、当日は100名近くの参加者があり、関心の高さがうかがわれました。
 ちなみに、広島司法書士会の地下にそれだけの収容人数を誇る会議室があることにも驚きました。150名は収容可能のようです。
 
1.【報告】広島家庭裁判所における成年後見事件に関する実情
 広島家庭裁判所の山下浩主任書記官から、広島家裁管内の事件数等データの解説のあと、広島家裁が求める市民後見人像の解説がありました。専門職への報酬付与が見込めない事案に市民後見人の優位性があり、同時に資力が乏しい事案であれば、財産管理に伴う不正の可能性が少ないことも念頭に置いているとのことでした。
 
2.【講演】地域で支える市民後見人の意義と自治体の役割
 第2部の講演は、当初、大阪市立大学の岩間伸之教授がご登壇を予定されていたところでしたが、本シンポジウムの約3週間前に急逝されたとのことで、急遽放送大学の大曽根寛教授による講演となりました。
 大曽根先生からは、市民後見人の意義や実際に関わられた各地方の社会福祉協議会、成年後見センター等の事例をもとにした解説がなされました。
 その中で私が認識を新たにしたのは「市民後見人」の定義は明確に定まっているものではない、という説明です。具体的には1.一定の研修を受講した者であること、2.専門職以外の一般市民であること、3.社会貢献(社会連帯)を基礎とすること、等の要件を満たす後見人のことを市民後見人と定義しているものの、定義する主体(例えばリーガルサポート)によっては、4.本人と同じ地域に住んでいること、5.任意後見は含まれない、等の定め方もあるとのことです。
 また、専門職を除くという要件についても、実際に市民後見人として活動している方は何等かの資格(介護支援専門員や精神保健福祉士など)をお持ちの方が多く、厳密な意味での専門職以外という要件を満たさないというご指摘もありました。
 
3.【パネルディスカッション】市民後見人活動の実際とその支援
 パネルディスカッションは、第2部に引き続き大曽根教授のほか、笠岡市の社会福祉協議会の方、大阪市で実際に市民後見人として活動されている方等をお招きし、市民後見人の活動の現状などについて紹介がありました。
 その中で、笠岡市の成年後見事業への取り組みについて、同市における成年後見制度の利用を必要とする方の増加、その一方で近隣市町村を含めても専門職後見人が不足している現状等があり、必要に迫られる形で市民後見人の養成、活動支援体制を構築することとなった経緯が示されました。
 この状況は、ある程度の都市部を除き、程度の差こそあれ同じ悩みを抱える地方自治体がでてくることが容易に想像されます。市民後見人は専門職の不足を数の面で補うものではなく、その特性を活かした活動が期待されている、とのお話しもあったところでしたが、やはり数の面でのマンパワーとしても期待される実情があると感じました。
 
 近時施行された成年後見制度利用促進法の中にも、市民を含めた社会全体での後見制度の支援体制が謳われており、今後ますます市民後見人の活躍が期待されるところです。
 
以上
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